●現場的ロストCG制作裏話〜中編〜


☆プラズマブラスト(5話)

 オープニングにはプラズマブラストのカットがある。これはオープニング用のCGを作るときに受け取ったコンテから知り得ていた情報であった。そして、諸般の事情によりそのカットはCGではなくセルでやることも。

 5話でCGのプラズマブラストをやることになったときは「オープニングのセル版を手本にすれば良いか」とわりと軽く考えていた…。

 そのオープニングがどうなったか…今更説明の必要はあるまい。

 結局こっちでデザインすることに。プラズマブラストは決め技ですから、プレッシャーが…。

☆メイフラワー7(10話)と11話乗っ取り計画(未遂)

 10話より先に11話のコンテが届く。9話あたりから慣れてきた(図に乗ってきたともいう)私は、11話は結構量が多くて大変そうだが締め切りも先なので、趣味で指定外のカットまで作り、11話の宇宙シーンをすべてCGにしてみようという計画を考え付く。

 これは試みなので余分のカットは没くらってもかまわない。また、まだ見えない10話とか12話がヘビーな内容ならやめればいい。程度のこととしてわたなべさん(CGの方ね)に話してみたら、なんと、わたなべさんは、さくっと11話に出てくるラグルド社の貨物船をモデリングしてくださった。

 その時点でUG艦もモデリングは終了してたし、ジェスの船、武装貨物船くらいならL2で造ってもいいだろう…よし。「11話乗っ取り計画」発動…。

 しかしあっさり潰えた。12話が大幅にヘビーな内容だったからだ。また貨物船のデータの存在を渡部監督に知られるところとなり…。

「うーん、ぐらぐらゆれるなぁ〜、11話、もう原画発注しちゃったしなあ…」

  

 結局、若干の手直しをして10話に出てくる移民船に流用されることに。あれ?結果的に10話が重くなった主要因って自分で作っちまったのか…。

☆そして怒涛の12話

 12話は多かった。ロスト26話通して最もCGの量も多いし、派手なシーンも多い回で、さすがにこの回だけは、わたなべさんに助っ人してもらい、修行中の山本までも投入してなんとか全数納品したわけだが、実は結構いろいろあった。

 最初に届いた12話のBパートのコンテ、これが…渡部監督なんのリミッターもかかってないといった趣の凄まじい内容で、宇宙シーン(無論セルも含めてだが)数えてみたら100カットを超えている。ロスト1話分の総カット数は300くらい。Bパートだけで100カットの宇宙シーンということは…。

さすがにこのコンテはあらゆる意味で実現できないので後日「大幅に地味になった」改訂版が届いた。(…それであれなんですけどね)口惜しい。最初のコンテを実現できないスケジュールが…。

 11話の一部のカットがポケモンチェックに引っかかったという知らせがきたのも12話を半分くらい作ったところだった。12話はそれまで、11話のあの表現がおっけーだったという前提で作っていたもんだから、精神的にちょっとダメージでかかったです。

(11話のポケモンチェック騒動の顛末は第11話「朋友散る」CGパート解説参照。)

 さらに不幸は続く。12話制作中にに私の身内に文字どおり不幸が起こり、通夜だ葬儀だサイブラスターだと、まさしく非常事態。私がやるはずだったカットを数点、わたなべさんに振った。

結局12話は総納品カット数が50弱。

…しかしよく間に合ったもんだ。

 さて後編は13話以降のお話です。

文責:森山 昇一

戻る
lostuniv@doga.co.jp
ALL CONTENTS Copyright (C) 1998 DoGA Corporation. All rights reserved.
最終更新: 98.10.08