●第17話「警部ぶっ飛ぶ」CGパート解説


 「ロスト・ユニバース」もロストシップが出てくるにつれ、CGの戦闘シーンが増えてきましたね。今回もラグドメゼギスが登場しました。 このラグドメゼギスのデザインは、当然メカ設定の鈴木氏がデザインされたと思っているでしょうが、実は違います。

 ラグドメゼギスだけでなく、デスクラウドもネザードも、移民船もジルの戦闘機も、エチゴーヤもウッタレヤーもハコブンヤーも(まだ他にあったっけ?)、CGパートで使用されたメカの多くは、本当は渡辺哲也さんがデザインしていたのです。 (鈴木氏がデザインしたのは、ソードブレイカー、シャトル、UG艦他)

 最初、渡辺さんがデザインするのは、デスクラウドだけの予定でした。 渡辺さんのメカデザインは、仲間内では定評があったのですが、なにしろTVアニメ制作に参加するなんてまったく初めてですから、メカデザインはちゃんとその道のプロの方に任せることになっていました。

 ただ、せっかくのことだし、制作に参加した記念として、1つだけでもメカデザインさせて欲しいと希望したところ、ロストシップの中では一番ザコのデスクラウドのデザインを任されたのです。

 渡辺さんは、“ほんとに、オレなんかがデザインしていいんやろか”と言いながら、おっかなびっくり制作していました。 そして放映された後も、“あんなのが放映されて、鈴木さんは怒っていないやろか”とやっぱりびくびくしていました。

 しかし、デスクラウドが好評だったのか、単に鈴木氏が忙しいのか、渡辺さんがデザインする回数はその後だんだん増えてきました。

 何しろ予定外だったので、契約書にもその辺の取り決めが何もありません。 しかし、放映時に「メカデザイン 鈴木 勤」と明記されている以上、こちらで「実はあのデザインは渡辺さんだよ」とは口外できません。

ということで、このCGパートの解説でもその辺はごまかしながら書いていました。 例えば、第10話の解説で、「(まだ公表する許可が取れていないので削除)」とあるのは、デザインに関する話です。

    そして、改めて制作会社側と協議した結果、特に問題はないだろうということで、今回このように公表できた訳です。 (別の協議事項で、CGパートのメカ設定資料集を作って、コミケで販売したいという申し入れは許可されませんでした。うっ残念。)

 さて、これだけでは第17話の解説になっていませんね。今回のCGパートにも少し触れましょう。

 まず、いきなり放ったプラズマ・ブラストをラグドメゼギスが吸い取るカットは、結構苦労しています。 吸い取られていくプラズマ・ブラストは、すべて森山さんの手描きで、何度か描いて一番よいものを選びました。

 なお、これらの透過光表現に使っているのは、「ロスト・ユニバース」制作用に開発したオリジナルの透過光専用ペイントソフトです。

 それから、UG鑑が全滅していく様子のカットは、モニタに映っているという雰囲気がなかなか出ませんでした。 画面全体を青色っぽくしているのですが、その色合いに問題があるようです。 白っぽくしたり、暗くしたり、4バージョンほど作成しました。

 また、太陽をバックにラグドメゼギスが登場するカットは、太陽の光の強さのバランスが難しく、これも何度か作り直しました。 そのおかげで森山さんは満足のいくカットになったと言っています。 私もなかなかカッコいいと思うのですが、いかがでしょう?

 ところで、前回も今回も予告編がすべてCGでしたね。 セルパートは大丈夫なんでしょうか? CGパートは、相変わらずちゃんと納期を厳守しています。

文責:かまた ゆたか
内容チェック:高津

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最終更新: 98.07.24