●CGパート解説 総集編 その1


 放映の方は、だんだんクライマックスというところですが、CGパートの制作は、もう残すところ2話だけで、既に仕事をやり終えたような気分になってきました。 ということで、マトメっぽいお話を。

 今回の仕事は、DoGAにとっても初の試みだったのですが、アニメ制作会社にとっても大きな冒険だったと思います。 “社内にCGの部署があるような大会社は別として、CGを外注に出しながら、毎週新作CGを使うようなTVアニメというのは前例がない”とおっしゃっていました。

 最も危惧されていたのが、納期の問題ですが、“アニメ界に「CGパートは遅れない」という伝説を作ろう”と心に誓った通り、全回、1日たりとも遅れずに済みそうです。

 次にコストの問題です。今回の制作費は、CGだからいくらというより、その秒数をセルで制作した場合にかかる費用(原画や動画制作費等)を基準にして設定されています。 最初の契約時には、毎回30秒程度制作するという内容だったのに、平均してその2倍は制作していますから、コスト的にはセルの半分程度で済んでいるはずです。

 特にビームや爆発といった透過光が必要なカットをセルで行うと、通常のセル、透過光のセル、マスクのセルと3枚必要なため、手間もコストもかかるそうです。 結果的にCGのおかげで、各話平均のセルの総枚数は、スレイヤーズシリーズと比較しても3割ほど減ったとか。

    このように、コストの面から見ても十分成功だったといえるでしょう。(逆にDoGAが儲かったかと聞かれると、首をひねらざるを得ないのですが…)

 最後に絵のクオリティの問題ですが、当方が決める問題ではないとはいえ、概ね好評を得ており、監督や制作会社側にも大変喜んでいただいていますので、まずまずでしょう。

 最近放映分は、メカの戦闘シーンが多く、セルで描かれた宇宙船のカットもありますが、それらと比較するとやっぱりCGの方が優れていると思います(もちろんCGが優れているのはメカなどに限定され、一般的には手描きのセルの方が圧倒的に優れていますが)。

 心残りなのは、制作期間がかなり限定されていたため、多少不満の残るカットも作り直している余裕が無かったことです。 それと予算が十分でなかったため、十分な人数のスタッフを割けなかったのも残念です。 結果的に本来CGで作るべきカットのすべてをこなすことができませんでした。上記のように、コスト的にはCGの方が安いぐらいなのですから、CGの予算を増やし、CGにできるところはどんどんCG化すべきだったのではないでしょうか。

 次回再び、TVアニメや劇場アニメを制作する機会がありましたら、この辺の問題を踏まえ、よりよい作品を制作したいと思います。

文責:かまた ゆたか

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最終更新: 98.08.17